LAST SHOW @ PARCO劇場

今年No.1舞台!!
そうか。プライベートモードにしてると読んでる人が誰だかわかってて、ネタバレ気にせんと感想が書けるね。わーきゃー。てか、そんなたいそうなものが書けるわけでもないんですけど。

幸せな新婚生活を始めた石川琢哉(北村有起哉)と美弥子(永作博美)。かつて名子役として一世を風靡した美弥子(芸名:轟木都子todoroki miwako)を射止め、自身もやっと売れないディレクターから抜け出せるチャンスとなる仕事を手にした琢哉。またそれを心から喜んでくれる妻・美弥子。
琢哉が撮るのは深い動物愛護心に溢れた話題の男・渡部トオル古田新太)のドキュメンタリー。彼は捨てられたペットを犬猫から昆虫、微生物に至るまで面倒を見てあげるという広い心の持ち主。付近住民とのトラブルなどの間で揺れる渡部の心の真相、そしてその愛情に迫ろうと、琢哉はクールなカメラマン・中島(中山祐一朗)と共に、渡部を密着取材する。
美弥子はそんな仕事一筋でいく琢哉を自身も不本意ながらも生活の為に続けているバラエティ番組などこなしながら温かく見守るのだった。
そんな石川家に突然、琢哉の実父・勝哉(風間杜夫)が訪れる。勝哉はかつて石川家を追われた男だ。しかし決して父を憎んでいたわけではない琢哉は快くそれを引き受ける。しかしそれが不幸への引き金となっていく。
予測のつかない行動で少しずつ美弥子に接近していく勝哉。幸せな二人の生活を蝕んでいこうとする勝哉の目的とは一体…。
元々その温厚さゆえに作品に力がないとも言われてきた琢哉であったが、果たしてこの状況をどう打開していくのか。
また動物愛護家・渡部の狂気も露呈されていき・・・。
混沌としていく石川家とその周辺。愛情と刺激に飢えた大人たちの恐ろしい喜劇が幕を開ける。

いやあ、もうほんとにすげえの作っちゃったなあ、圭史さん。この濃ゆい物語を具現化するために集まった少数精鋭の役者。当て書きかと思うようなキャラ設定。長塚作品は帰りに舞台の話をしたくないぐらいブラックで、救いようがなくて、収集がついてなくて。いつもそんな感じ。それが今回はちゃんと怖い中にもあったかさと、ちゃんとオチがついてた。なんかそれはそれでちょっと寂しいんだ(笑)。
風間杜夫さんが出ててですね、ちゃんとした商業演劇でも見に行かないとみられへんような方の生の演技が見られてかなり興奮しましたよ。リアルにキチガイ親父だった。あのおっさん、凶器持つと突然強くなるのな。あれはあの泣くと強くなるいじめられっこみたいなもんだな。あと、なんといっても市川しんぺーさん!!彼はなんと「ワタシ」という名の琢哉・美弥子の水子役なんですけど、母のピンチを救おうと急激に成長して出てくるんですよ、永作さんの股から(笑)。すごい衝撃のシーンですよ。合成じゃないんすよ!!でもって、このアリエナイ状況になぜかこう…ものすごいパワーを持って納得させられちゃうんですよ!!しかもあの体型でローションで全身べったりというものすごい状況なのに泣かされちゃうんですよ。もうなんなの?美弥子じゃないけど全然わかんない!!です。こちらの感情を完全に掌握した演出。すばらしー。
ただ1つ難点というかなんというか。美弥子はあらすじにある通り、ものすごく旦那のために尽くして、子供ができたらすごく喜んで、自分の子供がかわいいわけないじゃない!!みたいな人なのはものすごくプロトタイプから抜け出てなくて、圭史くん、人生経験が足りないんじゃないの?とちょっと思ってしまった。あの狂った人の中で、彼女はあんまり狂ってない。女だって愛情がちょっとだけ変な方向にいっちゃうってこと、あるんじゃないかなぁ。ま、紅一点だしわかりやすさ優先かい?てか、パンフレットにもあったけど、長塚くんが結婚して子供とかできて、それから書く女性像ってのにものすごく興味がわいた。
実はいまだに「ピローマン」がもう1度見たいんです。ああいう救いようがなく痛々しくて暗いのに、心の真ん中に陽が灯るような話。長塚オリジナルでやってくれないかなぁと思う。