二人が喋ってる。

いやあ、改めていい映画。この映画に関してはちょっと自分にしては異常とも思える執着があって、まず映画館で1回見ていて、その後アップリンクで再上映された時にはMDを持って行って密録もしていたり*1。いつもは「なんでいいか説明がつかないけどいい映画」という感想は割と変わらずだけれど、久々に見たら出ている人たちの演技力もかなりすごかった。あれだけの長セリフを、演じてるようじゃなく言えるのはかなりすごいと思う。やっぱ吉本の芸人さんだからかなぁ。その辺、どうやって演出したんだろう。あと、大阪の町中の人が写り混んでいるのだけれど、かなり興味津々でヤジ馬してるのが前見た時は全然気になってなかったんだよねえ。自然すぎて。今日見て初めて気がついた。ゲリラで撮ってるにしたって、こんな状況で演技するのはかなりツラいはずなのにすごい集中力だ。DVD内の犬童監督インタビューでその撮影方法が明らかにされていたけれど、これもまたすごくて、バイクの荷台にカメラマンが小さくなって乗って、その上から冷蔵庫のダンボールをかぶせて、ダンボールにあけた穴から撮影していたそうで。演者はどうしてたかというと、そのカメラマン入りのダンボールがその場になじんだ頃、助監督がバミってた立ち位置におもむろに行って、ピンマイクに「始めまーす」と言ってから演じていたらしい・・・。す、すげえ。なんて集中力だ。あの言い合いのテンションまで一気にあげられるなんてすげえや。
今回は見ていて「なんでいいか説明つかない」のがちょっとわかった気がしているよ。私の中には「言い争い愛」みたいな愛情ジャンルがあるんですけど(笑)、それがここにあるんだよ!!!言い合うって感情のぶつけ合いだし、そこまでできる仲ってすごいと思うんだけれど、感情を飲み込むことが『大人』とされてるとこがあって、あれ、スキじゃないの。言いたいことは、好きな人との間では言い合うべきだと思うの。そういうのが存分に描かれてる感じがする。あと、犬童監督はずーっと大阪出身かと思ってたら東京出身だった。犬童さんが切り取る大阪の空気は私の好きな大阪の空気だと思ってたのだけれど、そういう目線が似てるのかもしれない。
あとこの映画の悲しいとこは、一生懸命引き留めてるシズカちゃんが今はお笑いをやめていてナルミちゃんががんばっていることと、ベイブルースの高山は相方を劇症肝炎で亡くしているのだけれど、この映画の中でも相方が入院していて、餞別のフルーツを持ってお見舞いに行って友達を大事にしようと思ってる話をするシーンがやっぱ何回見ててもツラい。

*1:主にミュージカルシーンのため