114. イトウの恋 / 中島京子

イトウの恋

イトウの恋

おもしろかった!!なんとなく魚楠キリコが小説になりました的な今どきの小説かと思ってなめてました…。装丁からしてそうでしょう…。いや、実際並行して読んでいる*1「さようなら、コタツ」という短編集はするする読める軽いものだったので、そのイメージもあった。
話は中学校の冴えない郷土部の先生と生徒、元モデルの劇画の原作者の3人。それと、先生が見つけた手記の中がいったり来たりして進む。この郷土部の先生が「間宮兄弟」の弟よりも冴えないんだよ、これが!育ちはいいんだけど見かけがよろしくなくて売れ残っちゃった、って感じ。自分だったらちょっと・・・ダメだ、オレちょっと偏食ぎみの面食いだから。そんな先生と元モデルの劇画原作者・シゲル、絶対恋が生まれそうもないんだよねぇ。どこで恋が出てくるんだろう…と思っていたらちゃんと恋は出てきた。
ちゃんと郷土部も劇画も昔の人の手記も、設定がちゃんとリンクしていて、最後はロマンチックなのに納得できて、地味めな設定も、全部自分好みで良かった。読み始めた時はこれほどスキになるとは思わなかった。これは恋だ。
誰かこれを映像化して欲しいなぁ。配役とか勝手に考えちゃうぐらい自分の頭の中では映像が流れているのだけれど。

*1:一編づつ読めるので寝る前に短編、っていうのはなかなか効率的でいいですね。ただし、ノってくると二編、三編、となって、一編が長いのでなかなか眠れない。