ながいながいたび

結局、あのあと仕事がらみでうまいものを試食し、はたっと気がつくと機嫌が直っていた。やはり機嫌が悪い時にはうまいもの。これからは落ちそうな時にはうまいものを食うことにしよう。仕事は終わる気配がないが、部屋の長の「終わり!」の号令と共に仕事は終わる。昨日から念願のしょうが焼き定食を夕飯に。やっぱり自分で作った方がうまいと思うー。しょうが焼きにはもやしよりもタマネギだと思うー。そして渋谷に立ち寄り24時間やっている山下書店へ。勝負!・・・無い…無いんですけど。ええーっ。じゃあ、ダメ元でTSUTAYAだ。ケーキ食べられない変わりにスタバでペパーミントモカを飲む。なんてこたーないペパーミント味のココアであるが、これがなかなかうまい。ちょっと甘いけど。さて。TSUTAYAである。勝負!…やっぱり無い。どこにあるのー?ふらふらと歩き出し、ハッと気がつくと私は青山ブックセンターにいた・・・銀座線に乗ったはずなのに。六本木は日比谷線。無い…どこにも無い。なのになぜか手には「秋日子かく語りき/大島弓子」「ロンパースルーム/安野モヨコ」が。あれ?何してるんだろう、私。こんなにたくさんのリリーフランキー本があるのに、なぜ、なぜサイバラ本はないの?しくしく。女の子は悲しくなってきました。しくしくしくしく涙は止まりません。すると涙は池になりました。その池からひげをはやしたおじいさんが出てきました。おじいさんはひげを紫に染めています。「おじょうさん、おじょうさんの探している本はこれかい?」といい差し出した本の表紙には「君らしくないね/秋元康」と書いてありました。”てか、オマエなに知ってんだよ”、と女の子は思いながらも言いました。「ちがいますちがいます。自分について知りたいじゃないのです。おじいさん、わたしのさがしてる本はどんな表紙かもわからないのです。」するとおじいさんは池に戻っていきました。そのひょうしに女の子の涙が止まり、池が小さくなっていきます。おじいさんは腰までしか出られなくなってしまいました。それでもおじいさんは「おじょうさん、ではこの本かな?」と本を探してくれました。その手には「世界の中心で、愛を叫ぶ/片山恭一」が握られていました。”おいおい、こんな平積み本が見つからないなんてオレの眼は節穴か?”と女の子は思いながら「おじいさん、わたしはそんなさわやかそうな本を探しているのではありません。もっとどすぐろいにおいのする本です」と言いました。するとおじいさんはパチンと指を鳴らし池に戻っていきました。池はとてもちいさくなっていました。おじいさんは次でてくる時、顔しかだすことができませんでしたが、その口にはピンクの本がくわえられていました。「ほじょほがん、ごほほんへふね。」「あ!この本は・・・!」そうです。女の子の探していた本「できるかなV3」だったのです。めでたしめでたし。完。
ごめん。もう疲れた。